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急速に豊かになっていく、ネパールの中間層


銀行内で、札束を数える人々

銀行内で、札束を数える人々

ネパールの土地価格は、近年ずっとバブル状態が続いている。

最早カトマンズ郊外ですら、私の実家のある日本の地方都市よりもかなり高く、また価格は年々上昇しており、とどまるところを知らない。

特にここ数年で数倍の価格になった土地も多く、土地を持っている農民が一気に裕福層に上り詰めたパターンもかなり多い。町の茶屋でも書類を広げて何やら話し込んでるかと思えば、土地の契約関係の書類だったりする光景を、ほぼ毎日目にするようになった。

私の友人でも、本来の仕事そっちのけで土地転がしをする人も増えてきており、結局そちらのほうが収入が多いので、本格的に土地転売を主な仕事にした人もいるぐらいだ。

実際に、私の知り合いでも何人かは土地転売で裕福になった人がいる。

カトマンズ郊外で、ボランティアをしている海外の若者が相手にしているお年寄りが、実は数千万円の土地資産持ちであるという笑えないような話も、既に現実なのである。

また、中流層以上の家庭の子供たちが先進国に留学し現地で就職したり、中流層以下の人々が、こぞって海外に出稼ぎに向かい、その国々からネパールに送られてくる外貨は膨大なものになっている。

ネパールは海外への外貨送金が規制されている為、外貨準備高はうなぎ上りだ。

ネパールの外貨準備高の推移(1980~2016年)

(出典:世界経済のネタ帳)

そのため、近年のインフレ傾向は特に激しく、実際に住んでいても溜息が出るほどだった。

だが、これほどのインフレなのに、割と庶民はあっけらかんとしている。

物価が高くなったと嘆く声を聞くことは多いが、それが大規模なデモに発達したということもない、もちろんNSU(Nepal Student Union)等の学生運動グループや政治団体が時折バンダ(道路封鎖や交通妨害をして抗議活動をすること)等はしているものの、1日前後で終わってしまい、長期間続くこともない。

これは恐らく庶民、特に中間層の経済的体力がついてきたことを意味するのだろう。

この10年ほどで、都市部近郊の村々でも、それまで昔ながらのネパールの土と竹と木で出来ていた住居に自転車が1台という標準的な中間層の人々が、コンクリートと煉瓦の2~3階建ての住居に変わり、バイクが2台、少し裕福になると自動車1台というふうな生活スタイルに急速に変化してきた。

このネパールの庶民の生活スタイルの変化速度は、体感的に日本の高度経済成長期を上回っている気がする。

事実、カトマンズのピザハットなどで食事をすると、貧乏旅行をしている欧米の外国人旅行者よりも、ネパール人の家族連れのほうが高いピザにトッピングをてんこ盛りにして楽しんでいたりもする。昔はピザ?何それおいしいの?というネパールの人々が大半だった。

また、まだ現時点では洗濯機を使う村人は少ないのだが、昨年からの停電時間の激減もあり需要も上がって行くだろう、村々の水場で井戸端会議をしながら女性たちがわいわいと洗濯をする光景も徐々に見られなくなっていくのかもしれない、寂しい限りである。

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